松山善三脚本の「乱れる」をBsで観る。

sukebo

2024年09月09日 06:39

松山善三脚本の「乱れる」をBsで観る。




成瀬巳喜男監督。
黒澤のように派手な演出はない。小津安二郎とも違うように思う。

 夫が結婚して半年で戦死して18年間、嫁いだ戦争未亡人の(高峰秀子)と義理の弟(加山雄三)との禁断の恋物語である。
母(三益愛子)も、嫁いで出て行った娘たち(草笛光子、白川由美)も加山に酒店の跡を継いでもらいたがっていた。
再婚話を娘の草笛光子が持ってくるのだが、高峰は「再婚なんて考えてもいません」と断ってしまう。

 酒店をスーパーマーケットにする話を「加山を社長にして進めて欲しい。
邪魔になっているのが私」だと言って駅で三益愛子に見送られて去る。
ところが故郷へ帰る列車に加山が乗り込んでくる。

・・・・その後の二人の描写が・・・なに?
 途中の温泉宿での逃げる高峰、迫る加山、抱き合う二人、また逃げて泣き崩れる高峰。
酒に酔った加山が高峰へ「さよなら」と外から電話する。


 翌朝、加山と思われる男が戸板に乗せられて宿の前を運ばれていく。
必死に追いかけ、立ち止まる高峰秀子。
フランス映画のように、そこで終わる
       (Fin)


 高度経済成長期を舞台にした、地方で小さな酒店を切り盛りする姉とその義弟をめぐるメロドラマ。
酒に溺れ、けんかに明け暮れていた弟を姉はいつもかばい優しく接していたが、ある日、弟から本当の思いを打ち明けられる。
そして恋は儚く、死とつねに隣り合わせにある。

「乱れる」とは、何が乱れるのか。
 近くにスーパーが出来て「高校三年生」の歌をスピーカーから鳴らして小売店の前を通り過ぎる。
スーパーでは卵が1個5円で販売される。11円で販売する小売業の親父が将来を苦にして自殺する。

 古いものと新しいものが交差して、高峰の貞操観念にはアタマが下がる。
「新しいものだとお思いでしょうが、二人を結婚させればよかったのに」と思うのだが、高峰の夫である松山善三は何をいいたかったのでしょうか?

乱れる原因はなに?・・・・それを投げかけた?



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